柊のはっぱは尖ってる

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#24 西尾維新に酩酊していた

先日、戯言シリーズ最新刊の「キドナプキディング」が発売されました。シリーズ最終巻とされていた「ネコソギラジカル・下」が2005年刊行、キドナプは18年越しの新刊となりました。

戯言シリーズ、人類最強、殺し名、殺して解して並べて揃えて晒してやんよ、戯言だけどね、うに!

こんなワードで震え上がる方、たくさんいますよね。

今回はそんな、西尾維新について語ってみようと思います。

24番目なのは最初から決まってたんだぜ!

 

 

 

リアルタイムで追いかけたなー!という実感があるのは正直物語シリーズの方ですが、とりあえず西尾維新について。

2002年、後に戯言シリーズと冠する作品たちの一冊目になる「クビキリサイクル」でデビューします。たぶん、読んだのもこれが最初だったと思うんですよ…たぶん…。

クビキリ、サイクル、そしてリサイクル。タイトルが結構大胆なトリックの根幹だったりするんですけど、そういう作品の大事なところをタイトルとかに仕込んでるところにもう西尾維新があるなあと思います。

 

奇抜な名前のクセの濃いキャラクターたち。目まぐるしい怒涛の展開。軽妙で面白い会話劇。

西尾維新の作品の魅力はいろんなところにありますが、初期作品から一貫しているミステリーとしての西尾維新も、正直大好きなんですよね。物語シリーズなんかにも織り込まれてます。

例えば、戯言シリーズ第二作「クビシメロマンチスト」なんかは、意外なキャラクターの意外な事実だったり、ミステリーとしての要素が強いです。もちろんパンチの効いたキャラクター小説としての面もありますが…だからこそ映えるミステリーの顔がありますよね。何度読んでもゾクゾクします。

 

ライトノベルの定義はなにか、みたいな話をすると戦争になるのは社会常識ですが(類題:本格ミステリーとは)確実に間口を広げた一人ですよね。ライトノベルは児童小説から、ファンタジーから、ハーレクインのようなロマンスから、歴史ものから…さまざまなジャンルから派生し結びついた分定義の難しいジャンルだと思いますが、ミステリーからライトノベルへと繋げた一人だと思います。

 

だんだんミステリー要素が薄まっていきつつ、バトル的な要素が強まっていく戯言シリーズ。スピンオフである零崎人識を主人公に置いたバトルメインの人間シリーズ、その分ミステリーに寄せた「きみとぼくの壊れた世界」から始まる世界シリーズ(完結待ってます!)、がっつりファンタジーに舵を切りながらも謎解きを忘れない「新本格魔法少女りすか」から続き2020年にまさかの完結をしたりすかシリーズ…毎月1冊1年間かけて物語を紡いでいく刀語。そして物語シリーズ

 

中学生くらいの自分にはどの作品もド刺さりました。

有り体に行ってしまえば中二病な世界観も、独特なネーミングも、魅力的すぎるキャラクターたちも。

図書館でひたすら読んでいき、自分でもお小遣いで買い…何年経っても本棚のいいところに並べてしまうんですよね。装丁も綺麗で飾りたくなります。カラフルで、中身は血みどろだったりしますがポップで本当に可愛い。

戯言から竹さんがイラストを多く担当していますが、本当に素晴らしい。ポケモンに竹さんが参加された時にすぐ分かりましたもんね。画風の変化はあれど、洗練されたスタイリッシュかつ、可愛くて個性的なイラストは竹さんだけだなあと思います。

もちろん他作品のイラストやデザインも大好きです。

 

中学生くらいの自分が勝手に持っていたジンクスが、「原作が大好きでアニメ化されると鳴かず飛ばずで終わる」っていうのがあったんですけど、これ具体的に作品名を挙げるとアレなのでやめておきますが、結構あったんですよ。なんでここ改変しちゃったんだろうとか、なんでこんなにテンポ悪いんだろうとか。

そのジンクスを打ち破ったのが物語シリーズでした。

シャフトさんとの相性の良さ、これ以上が考えられない声優陣…いろんな要素が重なり合って生まれた奇跡的な作品でしたよね。最初の化物語は12話テレビで放送、ラスト3話はネット配信という今でも少し珍しい放送形態でしたが、延期に次ぐ延期もあり、ネットがめちゃめちゃ盛り上がってたのも良く覚えています。トレンドにもたくさん上がってたなあ。

キャラクターの推しを決めるのが本当に難しい作品です。みんなのことが好きなんですけど、強いて言えば羽川翼かなあ。

各ヒロインのセリフでしかないキャラソンオープニングの数々も最高で、何年経っても色褪せないです。羽川さんの「chocolate insomnia」なんかは明るく泣ける名曲ですね。メインヒロインであるひたぎの「staple stable」からの「二言目」、ひたぎの成長と関係性の深まりを感じれて続けて聴きたくなっちゃいますよね。

 

刀語のアニメもクオリティが高くて大好きでした。

七花役の細谷佳正さんがねえ、とっても七花でたまらなかったです。もちろんとがめ役の田村ゆかりさんも。とがめの立板に水の奇策を語る場面は最高でした。中原麻衣さんの七実のこわさ、可憐さもさすがでしたよね…

 

そして忘れてはいけないのが漫画原作。特に「めだかボックス」は本当に面白かった!

くじ姉が好きです。黒神くじら。もちろん江迎のことも好きなんですけど、自分には抱えきれないというか…

アニメ、マイナス編もやってくれたらめちゃめちゃ盛り上がると思うので今からでも遅くはないと思うんですよ…ダメかなあ…緒方恵美さんの球磨川禊にはもう少し会ってみたいんですよ…「」を外した球磨川に…

 

自分が文章を書く上で一番参考に…というかトレースしているのは橋本紡さん(小説で、です。こういう日記的なものではなく)なんですけど、西尾維新はマネできなかったです。いや橋本紡先生も決してマネできてはないんですけど、こうは書けなかった。

書かないこと、説明しないこと、の美学が西尾維新の作品にはあると思うんですけど、代表的なのは戯言シリーズの主人公・いーちゃんの名前なんかはこれまで語られてはいませんし、今後語られたら拍子抜けなので墓まで持って行ってもらいたいです。いろんな作品・場面で〇〇な出来事があったらしい、ということは描かれますが詳細は語られない。大戦争、とかね。

書かないけれど存在を明らかにすることで、より奥行きが出ている設定と、ちゃんと明らかにするものの線引きがすごく巧みで、惹きつけるんですよねえ。こんなふうに小説が書けたらいいなあと思う憧れはずっとある。でも、絶対になれない人でもある。

キャラクター同士の掛け合いの面白さも、やっぱり他の追随を許さないところにありますよね。物語シリーズのキャラクターコメンタリーも、西尾維新じゃないと形にはならなかったですよね。関係ない話をあんなに盛り上げて尺に収めて(そこはディレクターさんと・声優さんの職人芸もあるんですけど)ときどきキャラコメを聴きたくて円盤再生することもありますもんね。

 

最近の作品は読めてなかったんですけれど、久々に冒頭で触れた「キドナプキディング」を読んで、さすがだなあ!と震えました。戯言シリーズの空気を吸えたんですよ。主人公がいーちゃんではない戯言シリーズに不安がなかったと言えば嘘になるんですけど、あれは間違いなく戯言シリーズでした。

もし読めてない方がいたら絶対読んでほしいです。たぶん知りたかったことは何もわからないんですけど、それでもあの頃の気持ちが取り戻せる作品でした。

 

そんな感じで、西尾維新が好きだって回でした。

もう一度作家さんを取り上げた回をやるんですが、そちらの方と西尾維新のコラボ小説も面白かったんですよね…と匂わせをしつつ、今回はこんなところで!

 

では!

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