柊のはっぱは尖ってる

好きなものの、好きなところを、好きなだけ

#23 大人だって楽しい絵本のはなし

絵本の読み聞かせボランティアをしています!

これだけは人生で胸を張って言える趣味・活動かもしれないです。

 

 

 

始めたきっかけは、ちょっと変なところなんですけど。

家族で何度も観劇し本を読み円盤を見ている鴻上尚史さん作演出の舞台で『リンダリンダ』という作品があります。

ブルーハーツの曲を使ったカタログミュージカルで、その中でバンドマンのひとりが、ステージで歌うことに緊張してしまうから、児童劇団に入ってそこでこどもたちの前で慣らしていってステージで歌えるようになろうとしている人がいて(松岡充さんが演じるマサオなんですけど)、これは良いアイデア!と大学生の自分が思いました。その頃、高校では映画部、大学で演劇に触れてみたい…挑戦しましたが人前は緊張する…上手くできない…なにか慣れる機会はないものか…と思っていたところ!

すごく近くにありました!母が加入しており、自分も聞いて育った絵本の読み聞かせ!これじゃん!!

 

自分の住む町は、ちょっとだけ図書ボランティアが活発な町です。読み聞かせの団体も小学校・幼稚園・図書館や公民館にあったりしますし(掛け持ちの人たくさんいますが)自分もいろんなところで聞いてきました。

小学校でも、月に1回朝の時間にボランティアの方が読みにきてくれるのを楽しく聞いていたのをよく覚えています。

弟が小学校在籍中に加入し、そのまま続けていたので、紹介で加入させてもらうことにしました。それが大学2年生です。

自分の同級生や先輩後輩のお母さんも多いので、なんだか最初は気まずかったですが最近はお母さんたちの中で愛されまくりの最年少・唯一の男でやらせてもらってます。オタサーの姫の逆みたいな。

 

そこから社会人1年生はお休みしましたが、そこからはずっと在籍しています。もちろん2020年からコロナがはじまり、学校に外部の人が立ち入れなくなっていたので、21年度は1回、22年度は3回、今年はものすごく久しぶりに通年で復活しています。

学校とか団体によって違うと思うんですが、うちは基本1年間同じクラスに通います。選本も自分で自由に。市町村によっては教科書におすすめされている絵本じゃないと読めなかったりするそうなので、そんなところじゃなくてよかったな…と。

 

タイトルに話を戻して、大人でも面白い絵本〜ってよく聞く話ではありますが、自分も読んでいて(普通に黙読としても、読み聞かせとしても)面白いなあという本、たくさんあります。

考えさせられるものも、ちょっと泣きそうになる本も。

いくつかピックアップしますね。

 

4〜5年くらいやってるんですけど(コロナを挟んで何年目なのかよくわからなくなっています)一番好きな作家さんはかがくいひろしさんです。

2005年にデビューされて、2009年に亡くなられています。その活動期間に対して作品数は多く16冊程度。「だるまさん・が」なんかは有名ですよね。

先日原画展に行きました。長野まで!父の運転で!生涯を追い、原画も間近で見れて、創作メモなんかもたくさんあり、未完の作品も見れて…もっとたくさんの作品を見たかったと思うばかりです。かがくいさんは特別支援教育の教師をしながら、絵本作家としてデビューしていきます。どんな世代にも、どんな子も、笑ってくれる可愛い本がたくさんあって…

自分が一番読み聞かせしているのは「がまんのケーキ」という本ですね。

原画展はまだ巡回中なので、お近くの場所があればぜひに。

 

岡田よしたかさんの絵本も面白いものばかりで!

食べ物たちがいろんな目にあう「ちくわのわーさん」「うどんのうーやん」「こんぶのぶーさん」なんかは、軽快な関西弁でシュールな一冊。これ、標準語の自分にはなかなか難しく、関西弁いける母の読み方を真似したり、関西出身の芸人さんの喋りを真似したりしながら読んでます。

「こんぶのぶーさん」は、昆布のぶーさん・こんさん兄弟が漫才をする本なので、頭の中にミキの昴生亜生の兄弟をインストールしてやったのが、難しくも楽しかったですね。

小学生も笑ってくれたので安心しました。

 

定期的に読みたくなるのは、シゲタサヤカさんの「おいしいぼうし」。

おじいさんとおばあさんが見つけた、丸くて薄くて少し透けて茶色い、ベタベタして甘い匂いのするなぞのもの。食べるととっても美味しくて、ふたりは堪能するのですが、その夜、とある来客があり…

ここから先は読んでみてほしい。ほんとに。もう、すごいので。すごい展開とブラックな笑い。見開きで泣き叫ぶシーンを全力で読むのがめちゃめちゃ楽しいんですけど、小学生も「え、え?」って空気になるのがたまらないです。

もう人気作家すぎますが、ヨシタケシンスケさんの「にげてさがして」はここ最近のヨシタケさんの本の中でも特にお気に入りかもしれないです。

たぶん小学生くらいは、さらっと読んでふーんってなると思うんですが、読んでいるこちらの方がぐっときてしまうというか。自覚はないけれど、もう大人になってしまった自分から伝えたいメッセージかもしれないな、と。偉そうなことは何も言えないけれど、少しでも心のどこかに残ってくれていたらいいなと思う本です。

真面目な本で挙げるならば、名作すぎるところではありますが「どんなかんじかなあ」は、読んだ時に苦しくもなり、これを本当に自分が読んで伝えることができるのか、悩んでたくさん練習した本です。

障害や悲しいことを題材にはしているものの、重くなく、難しくもなく、優しい語り口で伝わる本だと思います。

 

読み聞かせを小学生にする意味。それを聞いて育ち、今は読む側になった自分からすると、絶対に自分では手に取らないような世界の話、ジャンルの話を、誰かと共有しながら触れることかなと思います。それも映像ではなく、誰かの肉声で。

もちろん説教くさいものもあるし、全部が全部面白いとは思えないんですけど、難しい話も、悲しい話も、楽しい話も、自分や家族とだけで共有するわけじゃなく、教室で友達や友達じゃない子と一緒になって聞く空間は、すごく尊いものだなと思います。

そんな中で、少しでも心に残るものが伝わったらいいなあと、思いながら読んでいます。

 

コロナ禍でお休みをしていて、久しぶりに読めた時。以前はなかったマスクをしながらで苦しくて暑くて、声も届きにくくて大変だったんですけど、やっぱり良いなあ!って思いました。

笑って、しんみりして、えー?って空気になったりして。先生でも親でもない人だからこそ、不思議な空間になるんですよねえ。

続けられる限り、やっていきたいと思います。

選本のレパートリーも増やさないとなので、おすすめあったら教えてください!

 

では!

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